定率減税

定率減税とは、「経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律」などにもとづいて、1999年から個人へ実施された特例的な減税を指すことが多い用語。アジア通貨危機や大手金融機関の破綻を背景として、景気対策のために導入された。

所得税において所得税額の20%相当額(上限25万円)が、地方税である個人住民税において個人住民税所得割額の15%相当額(上限4万円)が税額控除されて、減税規模は年間3兆円超に及んだ。

上限付の減税であるが、それに制約される世帯は、標準世帯(子供2人の夫婦片働き給与所得世帯)の場合で、所得税で年収1310万円、住民税で同じく830万円以上の世帯と、上限をなす所得水準は低くない。

政府は1990年代の日本経済の長期低迷下において、景気対策としての意図をもった家計への所得減税を継続的に実施した。1994年には所得税20%(上限200万円)、住民税20%(上限20万円)、1995年と1996年には所得税15%(上限5万円)、住民税15%(上限2万円)の定率方式による減税が、また、1998年には所得税・住民税あわせて13万7500円(標準世帯の場合)の定額方式による減税が実施された。

減税規模は、1994年力も.5兆円、1995年と96年はそれぞれ2兆円、1998年は4兆円に達した。それ以外にも1995年以降は税率ブラケット見直しなどによる年35兆円規模の恒久減税があわせて実施された。定率方式による1994年から1996年の減税も広義には定率減税といえるが、1998年までの定率・定額減税はそれぞれ1年限りの「特別減税」としての措置であった。これに対し、1999年以降の定率減税は、当時、恒久減税と特別減税とで経済効果に違いがありうるという議論が存在したことや、定率減税を抜本的税制改革までの措置とすることで、「恒久的減税」と位置づけられた。

その後、基礎年金の国庫負担割合を引き上げるための財源が求められ、また、所得税・住民税の抜本改革の議論が徐々に進むなか、日本経済も一定の回復をみせたことから、2005年度の税制改正で減税率を半減させるなど、恒久的減税の一環であった定率減税の廃止が決定した。定率減税廃止は実質的な増税であり、住民税の税源移譲に伴う引き上げと同様に家計の財政を直撃するとして反発も存在した。

代わりの減税措置としては定額減税が導入された。