劣後債

劣後債(subordinatcd bond, subordinated debenture)とは他の債権者に対してよりも債務弁済の順位が劣後する社債のことをいう。企業に破産や清算等の状態が発生した際に、当該債券の保有者に対する元利金の支払を、一般社債などの一般債権保有者への債務履行の後順位に置く旨の劣後特約条項を付して発行される。通常の場合、劣後債権者以外のすべての債権者が上位債権者となる。社債の一種だが、自己資本に近い性格がある。欧米諸国では、長期劣後債は一部を自己資本に組み込めるので、 自己資本を充実させる目的で長期劣後債が発行されることがある。

アメリカの無担保社債のうち債務弁済の順位が一般の無担保社債よりも劣後するものを特に劣後条項付社債という。信用力の点で一般の無担保社債よりも劣るため、普通社債としてよりも転換社債として発行される場合が多い。

英国や米国では企業の負債性資本調達手段として利用されているが、バランスシート上では、劣後債と劣後債務(ローン)の区別は厳密にされていない。

BIS(国際決済銀行)の金融機関の自己資本比率規制では、劣後債は補完的項目として、基本的項目と同額まで自己資本への参入が認められる。

日本では、銀行の劣後債発行は、性格上金融債の発行に類似しており、長短分離制に抵触するために従来金融機関による発行は認められていなかった。しかし、1990年からの日本の株式市場の下落で、それまで自己資本をエクイティファイナンスと株式の含み益で増加させていた日本の銀行は、BIS基準自己資本比率規制をクリアすることが難しくなってきた。そのために、新しい自己資本充実手段として同年6月に国内での劣後ローンの取入れが、8月には海外現法による劣後保証債の発行と、外国銀行の劣後ローンを見合いとした劣後ローン債権信託証書の発行が認められた。