クラウディングアウト

クラディングアト(crowding out)とは、財政収支の赤字が巨額になり、金融市場で政府の資金需要と民間の資金需要が競合して金利が上昇して、民間資金需要の一部が市場から締め出されること。1970年代に米国のマネタリストたちが使い始めた。

当時、米国で国債が大量に発行されたことによって、国債利回りが上昇し、民間資金が国債にシフトした影響で、一部の民間企業の資金調達が困難になった。

国債は政府が発行するので高金利でも発行することができるが、民間企業は高金利では採算がとれないため、借入を断念せざるをえなくなり、結果的に金融市場から排除されることになる。

つまり、国が国債を発行することによって、金利の上昇を生み、金利が高くなったことにより民間企業は金融機関からの借り入れに慎重となり、設備投資をすることができなくなってしまう。よって、景気対策の一環として行われるはずであった国債発行が逆に、景気の冷えを助長することもあるわけである。

国債を発行することによって、金利の上昇を引き起こすメカニズムは、以下のようである。
国債を大量に発行することによって、国主導で市場での資金調達が活発となる。すると、市場では資金確保の動きが激しくなる。ということは、市場に出回る資金の絶対量が少なくなってしまい、これが結果的には金利の上昇を生むという現象につながっていくのである。

また金利の上昇ということは、個人レベルの消費にも深刻な影響をもたらす。たとえば、住宅ローンや自動車ローンを組む場合には金利の状況を見て判断するのが常識である。
金利が上昇すれば返済負担が大きくなるから、自然と買い控えが起きる。よって住宅や自動車の売り上げにもマイナスの影響を及ぼすことがある。

実物面での需要競合での物価上昇が民間支出を押しのける「リアルクラディングアト」という考え方もある。これに対して、国債・株式・マネーの3つの資産からなる一般均衡市場を考えると、資産間の代替性の程度によって国債の増発がトービンのqを上昇させ、結果として民間投資を促進させる可能性がある。

とりわけマネーと国債が完全代替の場合には、国債の増発はマネーの増加に等しいために、必ずqを上昇させる。こうした現象はクラディングインとよばれる。